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INSTALL & MIGRATION

導入ガイド — インストール、初期設定、OpenClawからの移行

Hermes Agent の導入手順、段階的セットアップ、OpenClaw からの移行フローを実務目線で整理します。

導入の速さ

Hermes Agent はワンライナーのインストーラで短時間に導入できます。Linux、macOS、WSL2 を対象に、依存の多くを自動で整える設計です。

導入後は hermes、hermes model、hermes tools、hermes gateway setup といったコマンドで段階的に環境を整えていけます。

段階的にセットアップできる

最初はCLIだけ、次にメッセージング、さらに必要なら Voice、MCP、外部メモリ、cron と広げていけます。

最初から全部を理解しなくても使い始められる点は、運用導入で大きな利点です。

OpenClawからの移行という重要ユースケース

Hermes Agent には hermes claw migrate が用意されており、SOUL.md、AGENTS.md、MEMORY.md、USER.md、スキル、各種設定を取り込めます。

これは単なる乗り換えではなく、育ててきたAI資産を継承したまま次世代基盤へ移るための導線です。

今から始めるなら何から手を付けるべきか

導入初期は、まずCLIで対話、次にメモリとSOUL.md整備、その後によく使うチャット基盤との接続、最後に cron や MCP へ進むのが現実的です。

Hermes は広いので、全部を一度にではなく、自分の仕事に近いところから育てる方が定着します。

インストール手順: 最短3コマンドで起動する

Hermes Agent のインストーラはワンライナーで提供されています。Linux(Ubuntu / Debian / Arch)、macOS(Intel / Apple Silicon)、Windows の WSL2 環境で同じ手順が通る設計になっており、依存関係の多くは自動で解決されます。まずはターミナルを開き、以下を順に実行してください。

# 1. インストーラの取得と実行
curl -fsSL https://hermes-agent.dev/install.sh | sh

# 2. 初期化(ホームに ~/.hermes ディレクトリが作られます)
hermes init

# 3. アカウント認証(ブラウザが開きます)
hermes login

# 4. 動作確認
hermes --version
hermes doctor

hermes doctor は環境診断コマンドです。Python、Node、SQLite、ffmpeg、git など周辺依存の有無を一覧で返してくれるので、最初の段階で足りないものがあれば先に整えておくと後工程が滑らかになります。会社PCなど管理された環境で導入する場合は、社内プロキシの設定を ~/.hermes/config.toml[network] セクションに書き足しておくと通信エラーを避けられます。

ここまで来たらターミナルで hermes と打つだけで対話セッションが立ち上がります。最初の一言は何でも構いません。「自己紹介して」と聞いて返答が返ってくれば、基礎セットアップは完了です。

段階的セットアップ: 4つのフェーズで広げる

Hermes Agent は機能の塊が大きいため、一度にすべてを設定しようとすると必ず疲れます。僕は導入支援の現場で、次の4フェーズに分けて進めるよう案内しています。どのフェーズまで行くかは業務要件次第で、途中で止めても問題ありません。

# Phase 1: CLI で対話できる状態を作る(初日)
hermes                              # 対話モード
hermes memory list                  # 記憶の確認

# Phase 2: モデルとメモリを整える(1週間以内)
hermes model set anthropic/claude-opus-4-7
hermes memory import ./SOUL.md
hermes memory import ./USER.md

# Phase 3: チャット基盤と接続する(2週目以降)
hermes gateway setup slack
hermes gateway setup telegram

# Phase 4: 自動化と外部連携を足す(運用フェーズ)
hermes cron add "0 9 * * *" "daily-brief"
hermes mcp install github
hermes mcp install linear

Phase 1 と 2 までで、個人のAI秘書として動かす素地は整います。Phase 3 以降はチームで共有する・定期ジョブを回すといった用途が明確になってから着手したほうが無駄がありません。

OpenClawからの移行: hermes claw migrate を使い倒す

OpenClaw 時代から資産を育ててきたユーザーにとって、移行コマンドは Hermes Agent 最大の目玉機能のひとつです。単にアカウントを切り替えるのではなく、SOUL.md、AGENTS.md、MEMORY.md、USER.md、スキル定義、ツール設定、権限スコープまでをまとめて引き継げます。

# OpenClaw の設定ディレクトリを指定して移行
hermes claw migrate --source ~/.openclaw --dry-run

# 差分を確認したあと、本実行
hermes claw migrate --source ~/.openclaw --apply

# 特定ファイルだけ選んで移行
hermes claw migrate --source ~/.openclaw \
  --include SOUL.md,MEMORY.md \
  --skip skills/legacy/*

まずは必ず --dry-run で走らせ、どのファイルがどこに写されるかを確認してください。OpenClaw 時代のスキルには現行仕様と互換性のないものも含まれている可能性があり、そういったスキルはレポートで警告されます。警告の出たスキルは一度 skills/legacy/ へ退避しておき、利用頻度が高いものだけを Hermes 形式に書き直す、という順序が安全です。

移行後に hermes memory search "よく聞かれた質問" と打ってみて、過去の会話記憶から妥当な候補が戻ってくれば、ベクトル索引の再構築まで含めて継承できていることが確認できます。

初期設定のベストプラクティスと注意点

導入段階で決めておくと後戻りが少ない設定ポイントを、チェックリスト形式で整理します。ここを雑にすると、半年後に「誰が何を設定したのか分からない」状態に陥りがちです。

  • モデルは用途別に分ける: 対話用は高性能モデル、要約・分類などのバッチ処理は軽量モデル、という二段構えが費用対効果に優れます。
  • SOUL.md は必ず Git 管理する: 人格・口調・禁則事項をまとめた SOUL.md は、チーム運用では変更履歴が命です。リポジトリで管理し、PR レビューで変更点を共有してください。
  • メモリのバックアップ計画: hermes memory export を週次で走らせ、S3 などに保存する cron を最初に組んでおくと安全です。
  • 権限スコープは最小から始める: MCP 連携は最初 read-only で入れ、業務に馴染んでから write 権限を足します。
  • ログレベルを環境別に変える: 検証環境は debug、本番は info 以下にしておくと、SQLite のログ肥大を避けられます。

特に注意したいのが、メモリのバックアップです。Hermes Agent の価値は「育ってきた記憶」にあるので、これを失うと導入初期からやり直しになります。導入2日目までにバックアップ運用を組む、と決めておくのが実務上の鉄則です。

運用事例: 業種別の導入パターン

実際に Hermes Agent を導入した事例から、代表的なパターンを3つ紹介します。業種も規模もばらばらですが、段階的に広げていった流れには共通点があります。

事例1: SaaS開発企業(エンジニア30名)
課題は「Slack に流れる技術的な議論がナレッジ化されず、同じ質問が繰り返される」こと。Phase 1〜3 を2週間で進め、Slack のスレッド要約と FAQ 自動生成から着手しました。導入2ヶ月で類似質問の発生率が4割減り、オンボーディング期間の短縮にもつながっています。鍵になったのは、最初から完璧を目指さず「まずスレッド要約だけ」に絞った点でした。

事例2: 経営コンサルティングファーム(個人事業主)
OpenClaw で育てた調査テンプレートを Hermes Agent に移行したケース。hermes claw migrate で SOUL.md と 20本ほどのスキルを持ち越し、Telegram 経由での指示に切り替えました。外出先から「A社の直近四半期決算を要約して」と投げれば10分後にPDFが届く、という運用が成立しています。紙のメモを取らなくなったのが最大の変化だそうです。

事例3: 大学の研究室(准教授+学生8名)
論文の下読み・実験ログの整理・共著者との進捗共有を Hermes Agent に任せています。cron で毎朝 arXiv の新着を巡回し、研究テーマに近いものだけを Discord に投げる、という運用が定着しました。学生側の「先生に質問する前に Hermes に聞いてみる」という文化が育ち、ラボ全体の研究速度が上がったとの報告があります。

よくある質問

Q. インストールに必要な最低スペックは?

A. CPU は2コア以上、メモリは4GB、ストレージは10GBが最低ラインです。ただしベクトルメモリが育つと 20〜50GB を消費することもあるので、長期運用を考えるなら 100GB の空きを見ておくと安心です。ローカルLLMを動かすのでなければ GPU は不要です。

Q. OpenClaw と Hermes Agent を並行運用できますか?

A. 技術的には可能ですが、メモリが分裂してしまい「どちらに覚えさせたか分からない」状況になりがちです。1〜2週間の並行検証期間を設けた後、Hermes 側に一本化することを強くおすすめします。hermes claw migrate --mode mirror を使うと一時的に双方向同期を張ることもできますが、あくまで移行期間限定の機能という位置づけです。

Q. オフライン環境でもインストールできますか?

A. 可能です。インターネット接続のあるマシンで hermes bundle create を実行するとインストーラ一式がアーカイブされるので、それをオフライン環境に持ち込んで hermes bundle install を打てば導入できます。社内プライベートレジストリを指定する形での運用もサポートされています。

Q. アンインストールしたいときはどうすれば?

A. hermes uninstall --keep-memory で実行モジュールだけを削除し、~/.hermes 配下の記憶資産は残せます。完全削除したい場合は --purge オプションを付けてください。一度消してしまった記憶は復元できないので、hermes memory export でバックアップを取ってから実行するのが基本動作です。

Q. 複数ユーザーで同じマシンを使っていますが設定は分けられますか?

A. Hermes Agent はOSユーザーごとに ~/.hermes が独立して作られるので、同じマシンでもユーザーごとに別人格・別記憶を保てます。SOUL.md や USER.md もユーザー配下にあるため、人格が混ざる心配はありません。

僕の体験談: 最初の一週間で起きたこと

僕が Hermes Agent を最初に入れたときの話を、あえて失敗も含めて正直に書いておきます。誰かの助けになればと思うので、きれいごと抜きで。

導入初日は順調でした。インストーラが通り、hermes init から3分で対話できる状態まで到達し、「なんだ、簡単じゃないか」とコーヒーを入れ直したくらいです。問題は2日目以降でした。欲張って Slack・Telegram・Discord・GitHub MCP・Linear MCP まで一気に繋いだら、各チャネルから似たような通知が乱れ飛ぶ状態になり、一時間ほどで自分がノイズに埋もれました。ここで学んだのは、チャネルは「一度にひとつずつ、慣れてから次」という原則です。

3日目には SOUL.md を書きました。最初は「丁寧で誠実に」とふわっとした書き方をしていたのですが、それだと返答のトーンが日によってブレます。思い切って「文末は『です・ます』、絵文字は原則使わない、不確実な情報には必ず出典か『推測です』と付記する」と具体的に書き換えたら、安定しました。SOUL.md は抽象語を極力減らして、守るべきルールを列挙する形式のほうが、Hermes は理解しやすいようです。

一週間で気づいたのは、Hermes の導入は「機能を足す作業」ではなく「自分の仕事の型を言語化する作業」だということ。AIに教えるつもりで書いていたら、自分の働き方が整理されていました。

OpenClaw からの移行も経験しています。初回は --dry-run を飛ばして --apply を直接実行してしまい、重複スキルが15個ほど作られてカオス状態になりました。hermes skill prune --duplicates で救われましたが、以来、移行系コマンドは必ず --dry-run から、と自戒しています。ドキュメントの警告は読むためにある、というシンプルな真理を改めて噛みしめました。

導入状態の比較: CLI だけ vs フル構成

Hermes Agent はどこまで構成するかで体験が大きく変わります。検討段階にある方向けに、最小構成とフル構成を並べた早見表を用意しました。段階的セットアップで書いたフェーズと対応しているので、今どの段階にいるかを把握する目安として使ってください。

項目CLI最小構成(Phase 1)チャット連携込み(Phase 3)フル構成(Phase 4)
導入にかかる時間30分半日〜1日1〜2週間
使える入力経路ターミナルのみSlack / Telegram 等Slack / Voice / cron / MCP
記憶・学習有効有効有効+バックアップ運用
自動化なし手動実行中心cron+イベント駆動
外部ツール連携なし限定的GitHub / Linear / DB など
向いている人個人で試したい小チームで共有したい業務基盤として運用したい

重要なのは、Phase 1 から始めて Phase 4 に至る途中のどこで止めてもきちんと機能する、という点です。Hermes Agent は段階的に価値を積み上げられるように設計されているので、無理に全部揃えなくてよい、というのは最初に伝えておきたい原則です。