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Hermes v0.11-v0.12アップデート完全解説

Hermes v0.11-v0.12アップデート アイキャッチ画像
Hermes Agent v0.11-v0.12 アップデート Kanbanシステムと自律スキル管理

Hermes Agentは2026年4月から5月にかけて、v0.11「The Interface Release」とv0.12「The Curator Release」という2つのメジャーアップデートを連続でリリースしました。YouTubeチャンネル「AICodeKing」の解説動画では「V2.0(Refreshed!)」と表現されていますが、これは内部的にはv0.11とv0.12の2つのリリースをまとめた呼称です。本記事では、両バージョンの主要な変更点と、特に注目すべきKanbanシステムの仕組みを具体的に解説します。

v0.11「The Interface Release」の主要変更点

v0.11はユーザーインターフェースと通信基盤の大規模な刷新を目的としたリリースです。4つの大きな変更がありました。

InkベースのTUI(React/Inkへ書き換え)

ターミナルUIが従来の実装からReactとInkフレームワークによるものに全面的に書き換えられました。これにより、画面の描画が安定し、マルチライン表示やプログレスバー、タスク進捗の可視化が格段に向上しています。コンテキストが長いセッションでもTUIが崩れることがなくなり、デバッグ時のログ追視性が改善されました。

プラガブルトランスポート

新しいトランスポートレイヤーにより、Hermesが動作するチャネルが拡張されました。従来はSSHやWebチャットが中心でしたが、v0.11ではメッセージングプラットフォームへの接続が標準化されています。Slack、Telegram、Discord、Signal、WhatsAppといったプラットフォームへのデプロイが設定ファイルの記述のみで可能になりました。

AWS Bedrockネイティブ対応

AWS Bedrockのプロバイダーがネイティブサポートされました。ClaudeやLlamaなどのモデルをBedrock経由で直接呼び出せるようになり、企業におけるAWS環境との統合が容易になっています。

新推論パス・GPT-5.5・QQBot・/steerコマンド

推論エンジンが刷新され、GPT-5.5モデルのサポートが追加されました。またQQBot統合と/steerコマンドが導入され、実行中のタスクに対して方向性をリアルタイムで補正できるようになりました。

v0.12「The Curator Release」の主要変更点

v0.12はエージェントの自律性とスキル管理に焦点を当てたリリースです。

Autonomous Curator(自律スキル整理)

エージェントが自身のスキルを自律的に整理・分類する機能です。使用頻度の低いスキルをアーカイブしたり、類似スキルを統合したり、新しいスキルを自動検出して提案したりします。これにより、プロジェクトの成長に伴ってスキルライブラリが肥大化する問題に対処します。

Self-improvement loop(自己改善ループ)

エージェントが自らの実行結果を分析し、プロンプトやパラメータを自動調整するフィードバックループです。失敗したタスクの原因を特定し、次回実行時に同じミスを回避するように設定を更新します。

新プロバイダーとMCP統合

Microsoft TeamsとTencentのYuanbao(元宝)が新しいトランスポートとして追加されました。さらにSpotify、Google Meet、ComfyUI、TouchDesigner向けのMCPサーバーが利用可能になり、メディア制作やコミュニケーションの自動化範囲が大幅に拡大しています。

Kanbanシステムの徹底解説

v0.11 + v0.12の両リリースを通じて最も重要な新機能がKanbanシステムです。これは従来のdelegate_taskを根本的に再設計したもので、エージェント間タスク管理のパラダイムシフトと言えます。

delegate_taskとの根本的な違い

従来のdelegate_taskは関数呼び出しの形式を取っていました。メインエージェントがサブエージェントにタスクを渡すと、その場で実行が開始され、完了まで待機する同期型のモデルでした。これに対し、Kanbanシステムはワークキュー方式を採用しています。タスクが永続的なボードに投稿され、利用可能なワーカーが順に取得して実行します。これにより、非同期処理と並列実行が可能になりました。

永続タスクボード(SQLite)

KanbanボードはSQLiteデータベースに保存されます。这意味着プロセスが再起動してもタスクの状態が失われません。各タスクは以下の状態を持ちます:

  • TODO:キューに登録されたばかりの未着手タスク
  • DOING:ワーカーが取得して実行中のタスク
  • DONE:完了したタスク
  • FAILED:実行に失敗したタスク

依存関係エンジン

タスク間に依存関係を定義できます。例えば「タスクBはタスクAの完了を待つ」「タスクCはタスクAとタスクBの両方の完了が必要」といった設定が可能です。依存関係はDAG(有向非巡回グラフ)で管理され、循環依存が自動的に検出されます。

構造化ハンドオフ

タスクがワーカー間で受け渡される際、コンテキスト情報が構造化された形式で引き継がれます。これにより、サブエージェントがタスクの背景や前提条件を正しく理解できます。

リトライ履歴・サーキットブレーカー・クラッシュリカバリー

Kanbanシステムには堅牢なエラーハンドリング機構が組み込まれています:

  • リトライ履歴:各タスクの再試行回数が記録され、設定上限に達すると自動的にFAILED状態に遷移します
  • サーキットブレーカー:特定のタスクタイプが連続して失敗すると、そのタイプのタスク送信が一時的に停止され、システム全体が連鎖的に失敗するのを防ぎます
  • クラッシュリカバリー:プロセスがクラッシュした場合、SQLiteに残っているDOING状態のタスクが自動的に再キューされ、リカバリー後に実行が再開されます

4つの具体的なユースケース

ユースケース1: ソロ開発者のマルチタスク管理

個人開発者がバックエンドAPI、フロントエンドUI、ドキュメント作成を並行して進めるシナリオです。メインエージェントが3つのタスクをKanbanボードに投稿し、それぞれ異なるスキルセットを持つサブエージェントが並行して処理します。依存関係エンジンにより「ドキュメントはAPI実装の完了を待つ」といった制約も自動的に満たされます。

ユースケース2: フリートファーミング(エージェント群の並列運用)

複数のエージェントインスタンスを異なる目的で同時に稼働させる運用です。Kanbanボードを共有することで、あるエージェントが失敗したタスクを別の実行中のエージェントが引き継ぐことが可能になります。

ユースケース3: PRパイプライン(自動コードレビュー)

プルリクエストの自動レビューをKanbanで管理します。コード変更が検出されると「ユニットテスト実行」「セキュリティスキャン」「コードスタイルチェック」の3タスクが自動的にキューに追加されます。すべてが完了すると、結果をまとめたコメントがPRに投稿されます。

ユースケース4: 障害復旧

システム障害時に復旧タスクをKanbanボードに投入します。サーキットブレーカーが正常に動作していれば、同じエラーが繰り返されることを防ぎます。またクラッシュリカバリーにより、障害発生時に処理中だったタスクが自動的に再開されます。

設定方法とプロンプト例

Kanbanの起動方法

Kanbanシステムを使用するには、ターミナルで以下のコマンドを実行します:

hermes kanban

これによりKanbanモードが起動し、インタラクティブなボードが表示されます。設定ファイルで永続化を有効にするには:

# hermes.yaml
kanban:
  enabled: true
  storage: sqlite
  path: ./data/kanban.db
  max_retries: 3
  circuit_breaker_threshold: 5

タスク作成のプロンプト例

Kanbanモード内でタスクを作成するには、以下のようなプロンプトを使用します:

/kanban add "REST APIのエンドポイント実装" \
  --assignee backend-agent \
  --depends-on db-migration \
  --priority high

複数のタスクを一度にキューイングする場合:

/kanban batch
1. ユーザー認証ミドルウェアの追加
2. レスポンスのバリデーション層実装
3. OpenAPIドキュメントの自動生成
4. E2Eテストケースの作成

タスク3はタスク1とタスク2の完了後に実行
タスク4はタスク3の完了後に実行

実行状況の確認

Kanbanボードの状態を確認するには:

/kanban status
# または
/kanban list --filter DOING

/steerコマンドとの組み合わせ

実行中のタスクをリアルタイムで方向修正したい場合、/steerコマンドと組み合わせられます:

/steer task-42 "エラーハンドリングをより詳細に。500系のステータスコードごとに異なるレスポンスを返すように変更して"

まとめ

v0.11とv0.12の2つのリリースを通じて、Hermes Agentはインターフェースの刷新から自律的なスキル管理、そして本格的なマルチエージェントタスク管理まで、大幅な進化を遂げました。特にKanbanシステムは、従来の同期型delegate_taskから非同期ワークキュー方式への移行により、並列処理と信頼性が劇的に向上しています。ソロ開発者から大規模なエージェントフリートを運用するチームまで、幅広いユーザーにとって有用な機能となっています。

最新バージョンへのアップグレードは、npm update -g hermes-agentまたはオフィシャルドキュメントの手順に従って実行してください。